リンパ浮腫の検査
LVAの手術前に行う検査があります。
ICGリンパ管蛍光造影
リンパ液の流れを観察するものです。ICG(アイシージー)とは「インドシアニングリーン」のことです。緑色の色素が入ったお薬のことで、これを患者さんに注射して検査を行います。
造影とありますが、血管に点滴を注射針を刺す検査とは違います。
赤外線カメラというもので皮膚の上から見るだけのものです。
よく似た検査に「リンパシンチグラフィー」という保険適応のリンパ浮腫の検査があります。
これは放射線を出す薬剤を同じように注射して、リンパ管に取り込まれた薬剤を特殊なカメラで撮影する検査です。
これは連携病院で行う必要があります。
注射は痛みがあるため、注射前に痛み止めのテープを張ってしばらくしてから行います。
注射する部位は数か所あり、手足の指の間と手首や足首、膝などです。
- 注射後、すぐに赤外線カメラで観察します。一回注射しただけでは皮下で足首やふくらはぎの途中までしかリンパ液の流れを確認できないことがあるので、運動して頂いてから、もう一度赤外線カメラで観察を行います。
(注射は一回のみです。)
皮下を流れるリンパ液の流れを確認する検査ですが、リンパ液の流れが滞っている部分、リンパ液が漏れている部分を薬剤が皮下を流れるのをリアルタイムでみながら観察できるものになります。
注射した部分の皮下に吸収されてリンパ液と混ざりあい、一緒に吸収されて、リンパ管の中を流れるからです。
リンパ浮腫の患者さんは、この検査でさまざまなパターンが観察されます。
線になって流れている状態は問題ないのですが、全体が白っぽくなる場合は逆流か漏れのある部分で、リンパ液の流れは悪くなっています。
足の場合は、注射後に検査をし、その後数分程度、散歩をして頂いてから再度カメラで観察します。
すると、足首やふくらはぎあたりで一回目が止まっていたのが、それよりも上の方まで流れているのを観察でき、上の方は線状になっていることもあります。
リンパ浮腫が進行すると、ICGリンパ管蛍光造影で線状ではなく、真っ白になってしまい、どのリンパ管を手術で使えばいいか判断がつかなくなってしまいます。
リンパ管はないわけではないのですが、検査の特性上、どうしても見えにくくなってしまうのです。
数㎝程度ずつ場所をずらし、細かく観察し、おそらくリンパ液が流れているだろうという部分にまずはマーキングしておく必要があります。手術中にその部分のリンパ管を探すことになります。
LVAの手術では、実際にリンパ管が見つからないことや、見つかってもリンパ管自体の変性が進んでいることもあります。探せない場合は、別の場所の皮膚を切開してリンパ管を探すことになります。探しても絶対見つかるわけではありません。そのためつなげない可能性もあります。
超音波検査(エコー)
日本に数台しかない専用のエコーは実際に取り入れている病院は限られています。
現実はICGリンパ管蛍光造影をして、リンパ管の状態と場所をある程度確認してから、その場所付近をエコーであてて静脈の位置を確認する方法をとっています。
エコーでは下肢静脈血栓がないかも確認することがあります。
エコーで疑った場合は、CT検査を受ける必要があり専門科へご紹介いたします。
一通りエコーで静脈の分岐や逆流を確認します。
手術に適したリンパ管と静脈を事前に決めておくことが大事です。
手術に適したリンパ管と静脈の選別は、リンパ液が滞っていると管が拡張しているため、パーンと張っている状態で観察されます。静脈は流れていて柔らかいのでプローベで押すと潰れるという特徴があります。管の径も確認しリンパ管と静脈が同じくらいの径のものを選びます。
最初のICGリンパ管蛍光造影である程度把握して、細かくエコーで確認する流れになります。
日帰り手術では、2時間程度が患者さんがじっとしていられる限界と考え、準備を整えて手際よく手術するように心がけています。
その準備の一つが術前検査です。
MRI検査やリンパシンチグラフィーを行う場合、入院して手術を行う場合、入院して全身麻酔で手術をする場合は連携施設へご紹介させて頂きます。