豊胸術とは
小さな乳房に対して行われる手術で、シリコンバッグを利用した豊胸術が主流ですが、低侵襲なヒアルロン酸注入や自家脂肪を用いた脂肪注入による豊胸術も行われています。
術式ごとに特徴と注意点があるのでご紹介します。
全ての方法において、女性の場合は乳腺の炎症が起きる可能性が高くなることも念頭におき、妊娠の予定がある方は手術時期を検討し直した方がよいです。
シリコンバッグ
- 全身麻酔が必要です。手術後も入院が必要なことが多いです。
- 硬膜外麻酔での日帰り手術も行われています。
- 術後にバッグの入れ替えが必要なるケースもあります。
アナトミカルタイプのインプラントは、乳房の形態に準じた豊胸が可能です。
ただし、被膜拘縮やバッグの偏位の可能性があるのと、少しのサイズダウンやボリューム不足を感じても入れ替えとなると再度同様の手術が必要になる。
ヒアルロン酸
- 局所麻酔、日帰り手術が可能です。術後の痛みが少ないのが特徴です。
- 傷跡は針穴のみとなることが多いです。
- ただし1年で吸収されます。バストアップ効果は数㎝程度が限界です。
- 入れすぎると被膜形成し、硬い乳房になってしまいます。さらに「しこり」や「瘢痕」となることがあります。
- 乳がん検診(マンモグラフィー)の診断の妨げになる可能性があります。
バストアップと柔らかい自然な乳房の両方を実現させるのは厳しいのが現実。
自家組織
- 自分の体の一部である脂肪を採取して注入します。異物の注入や挿入と違う自分の体の一部という安心感があります。
- 脂肪吸引で採取した脂肪を注入するため、豊胸と脂肪吸引が同時に叶います。
- 注入された脂肪は半分以上が吸収されてしまうのがデメリットです。
- 脂肪注入の手技次第では、注入した脂肪の壊死、膿瘍形成のリスクがあるため注意が必要です。
脂肪生着のため適切な管理と手技が必要です。また痩せている人からとれる脂肪は限られてしまいます。
豊胸したいという希望があってもどれを選択していいか、どこで手術を受けたらいいか分からないと思われます。
海外(アジア圏)で豊胸手術を受けた患者さんの術後感染のケースでは、帰国後に相談する窓口がなく、腫れと痛みが日に日に増してきてどうしようもなかったため、日本国内の形成外科を保険診療でかかった方がいました。
手術自体は件数も多く症例数が多くて自分も同じようになるだろうと思って手術を決心。
国内より海外の方が知り合いと会わずに済み、手術を受けやすい場合もあるとか。
ただし術後の感染、異物やしこり、硬さ、瘢痕まで対応できるかというと、海外のクリニックだとすぐに対応ができないため症状が悪化する場合や、一人で不安になるかもしれません。
豊胸手術は乳癌手術や乳房再建手術に慣れた医師が行う方が安心です。
日々の保険診療の手術では、乳房の形態だけでなく、術後の感染にも適切に対応し、「ないお胸」を「豊かなお胸」にし、万が一のトラブルにも誠実に対応しているからです。
手術が終わって退院してからも、術後の通院で微妙な心情の変化や体の変化を受け止め、最後まで安心して付き合える仲間だからです。
さらに科学的に分かっていることですが、脂肪注入の技術次第で、脂肪の生着確率は変わります。
他のクリニックでどのような注入をしているかは詳細に分かりませんが、自分の組織を「活かす」も「ダメにする」も、医師やクリニックの選択に大きく関わっていることを付け加えさせて頂きます。