注入後のしこり、皮膚の下でどうなってる?

― 経皮エコーで原因を見極め、本来の表情を取り戻すために ―

 

 

 

注入治療を受けた後、『これって大丈夫なのかな』とふと、不安になることはありませんか。
今回のコラムはそんなお悩みを持つ方に参考になればと思い書きました。

 


実はとても多い、過去の注入によるご相談

当院にいらっしゃる患者さまの中で、特に多いご相談が次のような内容です。

  • 昔入れたPRPやFGFが、時間が経ってからしこりになってきた

  • 過去のヒアルロン酸が膨らみ、自然な表情が作れない

  • 皮膚の下が分厚くなり、目が小さく見える

  • 硬さがあるせいで、笑いにくくなった

  • 注入した部位がむくんでいる気がする

「そのうち落ち着くと言われたけれど、むしろ気になるようになってきた」

そう感じて来院される方は、決して珍しくありません。


「治療したのに変わらなかった」には理由があります

  • ステロイドを注入した

  • ヒアルロニダーゼを打った

  • 吸引をした

それでも改善しなかった、という声も多く聞きます。

これは、治療が間違っていたからではなく、「シコリの状態が正確に把握されていなかった」というケースがほとんどと推測されます。

しこりは、

  • どこに

  • どの深さに

  • どんな性質で存在しているか

によって、有効なアプローチが異なってきます。

MRI画像からわかる、皮膚の下のこと

以下、患者さまの承諾を得てMRI画像を掲載させていただきます。

症例は30代女性。2年前に頬にFGF添加PRP注射を受け、その1年後から頬の膨隆を認めました。

しこりが大きくなるため当院受診されました。

赤矢印:過去のヒアルロン酸注入

緑矢印:PRP+FGF注入後のしこり

 

緑矢印:PRP+FGF注入後のしこり

炎症反応及び繊維化した硬い組織と液体成分を認める

 

このMRIは、顔を輪切りにした断面画像です。丸く白く写っているのが眼球で、その下に

  • 皮膚
  • 皮下脂肪
  • 筋肉
  • 注入された物質や、その影響を受けた組織

ミルフィーユ状に重なって存在しています。MRIは、水分の多さ・組織の硬さ・構造の乱れを写し分ける検査です。


MRIでの「白っぽさ」「黒っぽさ」の基本

まず大事な前提です。上記の条件の画像について、ざっくりですがこのように考えるとわかりやすいです。

白く写るもの
・水分を多く含むもの
・液体成分
・むくみや炎症

黒っぽく写るもの
・水分が少ない
・硬い組織
・繊維化した部分

この違いをもとに、この画像での注入後の変化を読み取ります。


 赤矢印:ヒアルロン酸注入後の状態

赤い矢印で示されている部分は、ヒアルロン酸注入の影響が残っている部位です。

この部分の特徴は、

・比較的はっきりした形
・周囲と区別できる
・白っぽく、水分を含んだ信号
・一部が丸く、かたまり状

これは、
ヒアルロン酸(=水分を抱え込むジェル状物質)が、局所に留まっている状態を示しています。

時間が経っても、
・分解されにくかった
・周囲組織と十分になじまなかった

場合、硬結(しこり)として残ることがあります。

MRIではそれが「水分はあるけれど、動かないかたまり」として写ります。

 緑:FGF添加PRP注入後の状態

緑の矢印で示している部分は、FGFを加えたPRP注入後の変化と考えられる領域です。

この部分は画像上から以下が読み取れます。
・皮膚のすぐ下に広く存在している
・境界がはっきりせず、ぼやけている
・ベタッと面状に広がっている
・周囲の組織と混ざり合うように写っている

これは、注入した液体がそのまま残っている状態というよりも、PRPをきっかけに体が反応し、炎症と修復が起こった結果、組織そのものが変化した状態を示唆します。

その過程で、
・組織が少し厚く、硬くなる(繊維化)
・同時に、むくみのような水分が組織の中に残る

ということが起こる場合があります。

MRIでは、硬さを示す部分と、水分を含む部分が混ざって写るため、このように「境界がはっきりしない、広がる変化」として見えます。この状態では、

・触るとゴワつく感じがする
・皮膚の動きがやや悪く感じる
・完全に硬いしこりではない

といった感覚につながることがあります。

これは、硬くなった組織の中に、液体成分(リンパ液など)が混ざっている状態と、画像の所見が一致しています。


この画像からわかる大切なこと

同じ「注入治療」でも、
体の反応はまったく異なる形で現れるという点です。

ヒアルロン酸は「自然に溶ける」とは限りません。ヒアルロン酸は体内で分解される素材ですが、特に架橋の強い製剤や、時間が経過したものは、硬くなる・遅発性結節になる・周囲の組織と癒着する
といった変化を起こすことがあります。その状態になると、単純に「溶かす」だけでは改善しにくくなります。

 

しこりが吸引しても改善しない理由

MRI所見で見えるように、皮膚のすぐ下に、

  • 硬く繊維化した瘢痕組織

  • その隙間に入り込んだ液状成分

が、まるで蜂の巣のように存在していることが多くあります。

この状態では、吸引しても一部しか取れず、腫れだけが残ってしまうこともあります。

 

 

ユートピアートクリニックの考え方

― まず「見てから考える」 ―

当院では、経皮エコーを用いて、皮下の状態を可視化します。MRIが必要と判断した場合はメディカルスキャニングなどで

画像撮影をしていただくこともございます。

  • しこりの正確な位置

  • 深さ

  • 広がり

  • 硬さや性質

を確認したうえで、「何をすべきか」「何をしない方がいいか」を判断します。

表面だけを整えるのではなく、原因を見極めてから治療を考える

それが、遠回りのようで、実は一番の近道です。

 

 

「もう元に戻らないかもしれない」と感じている方へ

「きれいになるために受けた治療なのに、こんなことで悩むことになるなんて…」

そう思ってしまうのは、当然のことです。

シコリは、簡単に消えるものではありません。でも、諦める必要もありません。

適切に評価し、無理のない方法で少しずつ整えていくことで、本来の表情や輪郭を取り戻していくことは可能です。

 

諦めずに、一緒に治療を進めていきましょう。まずは、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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