プロテインドリンクは本当に必要か?
機能性医学から考える「たんぱく質」と食事の重要性
プロテインドリンクは、スポーツをする方だけでなく、美容や健康を目的として日常的に飲む方も増えています。
しかし、「毎日飲んだ方が健康に良いのか」という問いに対しては、機能性医学では少し違った視点から考えます。
プロテインは「食事の代わり」ではなく「補助食品」
たんぱく質は筋肉だけではなく、皮膚、血管、ホルモン、酵素、免疫細胞、コラーゲンなど、身体のあらゆる組織を構成する必須栄養素です。
一方で、食品にはたんぱく質以外にも多くの栄養素が含まれています。
例えば、
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肉:鉄、亜鉛、ビタミンB群
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魚:EPA・DHA、ビタミンD、セレン
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卵:コリン、ビタミンA・D・E
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大豆製品:マグネシウム、食物繊維、イソフラボン
これらはプロテインパウダーだけでは十分に補えません。
そのため、機能性医学では食品から多様な栄養素を摂取することを基本と考えます。
どんなプロテインを選べばいいのか
プロテインも食品であり、品質が重要です。
原材料がシンプルで、人工甘味料や不要な添加物の少ないものを選ぶことをおすすめします。
ホエイプロテインはロイシン含有量が多く、筋タンパク質合成を促進する点で優れています。しかし、日本人では乳糖不耐症の頻度が比較的高く、ホエイコンセントレート(WPC)では腹部膨満感や下痢などの消化器症状を認めることがあります。乳糖不耐症が疑われる場合は、乳糖が少ないホエイアイソレート(WPI)や、他のプロテインを検討するとよいでしょう。
一方、ソイプロテインには良質なたんぱく質が含まれていますが、フィチン酸などの成分は鉄や亜鉛などのミネラル吸収へ影響する可能性があります。また、大豆だけに偏った食生活は、多様な栄養摂取という観点からも望ましくありません。
そのため私は、食事を基本とし、不足時のみ植物由来の「遠藤まめプロテイン」を補助的に利用しています。
プロテインにフルーツを加えてもよいか
ベリー類はアントシアニンなどのポリフェノールを豊富に含み、抗酸化作用が期待できます。
バナナはカリウムやビタミンB6を含み、運動後の補食として相性の良い食品です。
ただし、プロテインとフルーツだけでは、脂質、食物繊維、微量栄養素などが不足しやすく、完全な食事とは言えません。
朝食代わりにプロテインだけ飲むことは勧められるか
私は基本的にはおすすめしていません。
食物を咀嚼すると、脳から消化管へ信号が送られ、唾液、胃酸、膵酵素などの分泌が始まります。これは**頭相反応(cephalic phase response)**と呼ばれ、消化・吸収を円滑にする重要な生理機能です。
液体のプロテインは手軽に摂取できますが、咀嚼刺激が少なく、この頭相反応を十分に引き出しにくい可能性があります。
忙しい朝や運動後の補食として利用することは有用ですが、毎日の朝食をプロテインだけで済ませることは推奨していません。
機能性医学の考え方
機能性医学では、「たんぱく質を何g摂るか」だけではなく、
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消化・吸収できているか
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必要なビタミン・ミネラルが足りているか
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腸内環境は整っているか
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炎症や代謝異常はないか
まで含めて評価します。
健康は一つの栄養素では作られません。
多様な食品を食べ、必要な時だけプロテインを補助的に活用する。
それが、現在のエビデンスと機能性医学の双方に基づいた、最も理にかなったたんぱく質との付き合い方だと考えています。
参考文献
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Jäger R, et al. International Society of Sports Nutrition Position Stand: Protein and Exercise. J Int Soc Sports Nutr. 2017.
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Phillips SM, Fulgoni VL, et al. Current Concepts and Unresolved Questions in Dietary Protein Requirements and Supplements. Nutrients. 2023.
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van Vliet S, Burd NA, van Loon LJC. The Skeletal Muscle Anabolic Response to Plant- versus Animal-Based Protein Consumption. J Nutr. 2015.
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Power ML, Schulkin J. Functions of the cephalic phase of digestion. Appetite. 2008.