マイクロプラスチックを減らす暮らしへ。
台所から始める小さな見直し
健康のために、食材や栄養バランスを意識する。それに加えて目を向けたいのが、「何に入れて保存するか」「どのような道具で調理するか」です。
保存容器、ラップ、飲料ボトル、まな板など、プラスチックは日常のさまざまな場面で使われています。便利な素材ですが、熱や摩擦、劣化によって微細な粒子が生じ、食品や飲み物に移る可能性が研究で報告されています。台所は、こうした接触を身近なところから見直しやすい場所です。
マイクロプラスチックとミトコンドリア
マイクロプラスチックは、一般に大きさが5mm未満のプラスチック粒子を指します。さらに小さな粒子は、ナノプラスチックと呼ばれます。
IFM(米国機能性医学研究所)の記事では、マイクロ・ナノプラスチックが細胞に及ぼす影響として、酸化ストレスや炎症、ミトコンドリア機能障害、DNA損傷の可能性が、実験研究をもとに紹介されています。
ミトコンドリアは、細胞が働くためのエネルギーをつくる場所です。環境中の物質がその働きにどのような影響を及ぼすかは、健康を考えるうえで重要な研究テーマとなっています。
暮らしの中でできる、8つの見直し
1.保存容器とラップを見直す
プラスチック製の保存容器を、ガラス製へ。ガラス製の真空食品保存容器も選択肢の一つです。食品が触れる容器本体の素材を確認し、加熱には耐熱性のある製品を使いましょう。
使い捨てラップの代わりに、蓋付き保存容器や、繰り返し使える蜜蝋ラップを取り入れる方法もあります。蜜蝋ラップは食品用の製品を選び、熱い食品や生肉・生魚には使用せず、製品の説明に従って扱いましょう。
真空保存でも、冷蔵・冷凍と保存期間の管理は必要です。
2.ペットボトルから、マイボトルへ
日常の飲み物は、ガラス製、チタン製、ステンレス製などの水筒に入れる方法があります。
容器本体だけでなく、内側のコーティングや蓋の素材も確認すると、飲み物とプラスチックとの接触を見直せます。持ち運びやすさや洗いやすさも考えて、続けやすいものを選びましょう。
3.熱いコーヒーは、カップと蓋を見直す
コンビニやカフェのコーヒーは、可能ならマイカップを利用しましょう。
プラスチック製の蓋を外して飲むことも、蓋との接触を減らす工夫です。ただ、紙コップの内側にも樹脂加工が施されている場合があり、熱い飲み物への微細な粒子の放出が実験で報告されています。よく利用する方は、容器そのものを見直してみましょう。
4.ティーバッグから、茶葉と茶こしへ
お茶は、茶葉を金属製の茶こしや急須で淹れる方法があります。
手元にあるティーバッグも、中身を取り出して茶こしで淹れれば、袋を熱湯に浸す工程を減らせます。次に購入するときには、茶葉の品質とともに、袋の素材にも目を向けてみましょう。
5.ウォーターサーバーの方式を見直す
ボトル式から浄水型への変更は、使い捨てボトルの使用を減らす選択肢です。
選ぶ際には、フィルターが対象とする粒子の大きさや除去性能の試験結果、交換周期を確認しましょう。内部のタンクや配管の素材、清掃のしやすさも大切なポイントです。
6.まな板は、木製や金属製も選択肢に
プラスチック製のまな板では、包丁による摩擦で微細な粒子が発生することが報告されています。買い替え時には、木製や食品用の金属製も検討できます。
木製は洗浄後に十分乾燥させ、カビや深い傷に注意しましょう。金属製は包丁の刃を傷めやすい場合があるため、相性や使い勝手も確認してください。
7.食器洗いのスポンジを、天然素材へ
へちま、ココナッツ繊維のたわし、植物繊維のブラシなども選択肢です。
天然素材の製品でも、研磨面や接着部分に合成樹脂が使われていることがあるため、全体の素材を確認しましょう。使用後は洗って十分に乾燥させ、食器や調理器具の表面を傷つけないものを選びます。
8.肌に触れる衣類の素材を見直す
下着や日常着には、綿や麻などの天然素材を取り入れる方法があります。買い替え時に素材表示を確認し、ポリエステルやナイロンの割合が少ないものを選ぶこともできます。
運動用のレギンスなどは、伸縮性や速乾性も大切です。日常着には天然素材、運動時には動きやすい素材など、用途に合わせて選びましょう。
毎日使うものを、一つずつ
ユートピアートクリニックでは、機能性医学の視点から、栄養・運動・睡眠とともに、日常の環境曝露にも目を向けています。
マイクロプラスチックが人の健康に及ぼす詳しい影響には、まだ解明されていない点があります。環境から受ける負荷が気になる方や、原因のはっきりしない疲労感が続く方は、体調の原因を確認するとともに、身の回りの素材や生活習慣も見直してみましょう。
すべてを一度に変える必要はありません。よく使う保存容器を一つ替える、次の買い替えで素材を選ぶ。無理なく続けられる工夫を、毎日の暮らしに取り入れていきましょう。
参考:IFM「How Toxic Exposures Impact Mitochondria and Energy Metabolism」