美容クリニックは口コミだけで選んでいい?形成外科医が考える「医師選び」
Netflix『ダウンタイム』から考える、美容医療のリアル
美容クリニックを探すとき、何を見て決めていますか?
- Googleの口コミ。
- SNSの症例写真。
- 医師のInstagram。
- クリニックのWEBサイト。
- 実際に施術を受けた人の体験談。
今はスマートフォンひとつで、たくさんの情報を比較できるようになりました。
Netflixシリーズ『ダウンタイム』でも、口コミや広告、クリニックの見せ方が美容医療の経営に大きく関わる様子が描かれています。
実際の美容医療の世界でも、口コミや症例写真がクリニック選びに大きな影響を与えていることは間違いありません。
でも、形成外科医として患者さんに知っておいていただきたいのは、
「ネット上でよく見えること」と「自分にとって良い医療を受けられること」は、必ずしも同じではない
ということです。
今回はシリーズ最後として、口コミやSNSとどう付き合いながら美容クリニックを選べばいいのか、考えてみたいと思います。
Netflixシリーズ『ダウンタイム』公式ページ
口コミは、大切な情報源のひとつです
まず、口コミを見ること自体が悪いわけではありません。
実際にクリニックを利用した方が、
- どのような対応を受けたのか。
- 院内はどんな雰囲気だったのか。
- 説明は分かりやすかったのか。
そうした情報を事前に知ることができるのは、患者さんにとって大きなメリットです。
症例写真も同じです。
医師がどのような治療をしているのか、自分が希望する治療のイメージに近いのかを知る参考になります。
ただし、どちらも「判断材料のひとつ」として見ることが大切です。
「広告が上手」と「手術が上手」は別のこと
Netflix『ダウンタイム』では、昔ながらの技術やブランドを持つクリニックと、診療を標準化し、ビジネスとして大きく成長していくクリニックが対照的に描かれています。
私はこの描写を見ながら、美容医療の世界にある、
「職人としての医療」と「ビジネスとしての医療」
という二つの側面を感じました。
クリニックを運営する以上、患者さんに存在を知っていただくための情報発信は必要です。ただ、情報を魅力的に見せる能力と、実際に医療を提供する能力は別のものです。患者さんには、その二つを分けて考えていただきたいと思っています。
症例写真を見るなら「きれいかどうか」だけではなく
美容医療では、症例写真も重要な情報源です。
ただ、写真を見るときには、仕上がりだけではなく、
「術後いつの写真なのか」
「自分と同じような状態から治療した症例なのか」
「どのような治療を行ったのか」
といったことにも注目してみてください。
5本目の記事でもお話ししたように、美容外科の手術は、術直後が完成ではありません。
腫れが引き、組織が落ち着くまでには時間が必要な治療もあります。
また、同じ施術名でも患者さんのもともとの状態や治療内容が違えば、経過や結果も異なります。
「この写真のようになりたい」と思ったときこそ、カウンセリングで、
「私の場合はどうでしょうか?」
と聞いてみることが大切です。
「口コミが良いから大丈夫」とも限らない
口コミには、どうしても主観が含まれます。
ある患者さんにとって非常に相性の良かった医師が、自分にも同じように合うとは限りません。
求めている仕上がりも違えば、治療に対する考え方も違います。
また、美容医療では口コミや症例写真が集客に大きく影響するからこそ、広告と患者さんのリアルな評価との境界を曖昧にしないことも重要だと考えています。
口コミの数や評価だけで、
「ここなら絶対に大丈夫」
と判断するのではなく、そこから先を自分自身で確かめてほしいと思います。
カウンセリングで、何を見ればいい?
では、実際にクリニックへ行ったら、何を確認すればいいのでしょうか。
私は、患者さんには遠慮せず質問していただきたいと思っています。
たとえば、
- なぜこの治療が自分に適しているのか
- ほかの治療方法はあるのか
- どのようなリスクや合併症があるのか
- ダウンタイムはどのような経過をたどるのか
- 希望している仕上がりは現実的なのか
- 何かあったときにどのような対応をしてもらえるのか
こうした質問に対して、メリットだけではなく、できること・できないことまで説明してくれるか。
それも、医師を選ぶ際の判断材料になると思います。
「質問しにくい」と感じたら、その感覚も大切に
美容医療では、患者さん自身が希望して治療を受けるケースが多いからこそ、医師とのコミュニケーションはとても重要です。
「こんなことを聞いたら失礼かな」
「先生が勧めているから断りにくい」
そう思って、疑問を残したまま治療を決める必要はありません。
美容医療は、患者さんが医師を選ぶ医療です。
でも同時に、患者さんと医師がお互いに信頼関係を築いていく医療でもあります。
最後に選ぶのは「自分」
- SNSで人気だから。
- 口コミが多いから。
- 有名な先生だから。
- 症例写真がきれいだから。
それらはすべて、クリニックを知るきっかけにはなります。
でも、最終的に治療を受けるのは自分自身です。
だからこそ、情報をたくさん集めた最後には、一度立ち止まって、
「私はどうなりたいのか」
「そのために、この治療が本当に必要なのか」
を考えてみてほしいと思います。
そして、それを一緒に考えられる医師を選んでください。
他の誰かの「よかった」だけではなく、自分自身が納得して治療を選択できること。
美容医療では、それがとても大切だと私は考えています。
Netflix『ダウンタイム』から考える、美容医療のリアル
今回まで7回にわたり、Netflixシリーズ『ダウンタイム』をきっかけに、実際の美容医療についてお話ししてきました。
ドラマだからこその演出もあります。
一方で、合併症、ダウンタイム、医師の技術、形成外科と美容外科の関係、口コミや広告など、実際の美容医療の現場と重なる部分もたくさんありました。
美容医療が身近になり、たくさんの情報に簡単に触れられるようになった今だからこそ、「何をするか」だけではなく、「なぜそれをするのか」まで考えて治療を選ぶことが、より大切になっているように思います。
このシリーズが、美容医療について少し立ち止まって考えるきっかけになれば幸いです。
監修・執筆
松宮 詩依
UTOPIART CLINIC EBISU 院長
形成外科医
01|同じ手術でもダウンタイムは医師によって違う?
02|「ダウンタイムが短い=上手な医師」は本当?
03|美容整形の傷跡は何で決まる?
04|美容整形のダウンタイムを長引かせないために
05|美容整形は手術直後が完成ではない
06|形成外科と美容外科は何が違う?
07|美容クリニックは口コミだけで選んでいい?