「むくみ」とは何?

リンパ浮腫という疾患は最近よく聞くようになりました。
病院の窓口でも、○○外科と隣にリンパ浮腫専門外来という看板を目にすることが増えてきたと思います。
「むくみ」とは、様々な原因で発症する浮腫(ふしゅ)の総合的な状態です。
むくみの種類
- リンパ浮腫
- 静脈性浮腫(深部静脈血栓症、下肢静脈瘤など)
- 薬剤性浮腫(薬剤の副作用)
- 病期による浮腫(心不全、腎不全、肝不全)
- 炎症性浮腫(外傷、感染など)
- 低栄養性浮腫(栄養不足)
- 廃用性浮腫(筋力低下)
- その他
「むくみ」とは様々な原因でなるものです。大まかには、皮膚と筋肉の間の皮下組織に、水分が過剰に溜まっている状態です。「リンパ」とは、リンパ管内を流れるリンパ液を指します。体中にたまった老廃物や蛋白質を回収する働きがあり、リンパ節は外部の細菌、ウイルスの侵入を防ぐ働きがあります。
リンパ浮腫、とは皮下組織にリンパ液が過剰に増えてリンパ液が溜まった状態です。
癌の手術で、リンパ節郭清をするとリンパ液の流れが悪くなり、さらに、放射線照射や抗がん剤を投与するためさらにリンパ管の働きが悪くなります。抗がん剤の副作用として生じる場合もあります。
リンパ浮腫の特徴3つ
- リンパ節郭清術を受けた後、リンパ液の流れが悪くなっている
- ゆっくりと発症し、ゆっくりと進行する
- 一度発症すると、ダメージを受けたリンパ管は元に戻らない、難治
どこの部位にリンパ浮腫は起こるの?
手術の影響を受けるのがリンパ浮腫ですが、手術によってどのリンパ節郭清をしたかで異なってきます。
- 脇のリンパ節 手術をした側の腕(肩、二の腕、肘、肘~手首、手の甲、手先)
- 下腹部のリンパ節 下腹部、陰部
- 鼠径部のリンパ節 足の付け根から太ももの内側、膝の内側、すね、ふくらはぎ、足首まわり
この浮腫には手術した側とそうでない正常な側とで、左右差がでてくるのが特徴です。
むくみがあるかチェック!
左右差が出るのがリンパ節郭清後のリンパ浮腫です。左右の皮膚を自分でよく触って比べてみてください。
二の腕の内側、太ももの内側をつまみ、「皮膚が厚くつまめる」ということはむくんでいるということです。
皮膚を指で押し、指を離した後に「凹みがなおらない」のもむくんでいる証拠です。
手術後、いつからリンパ浮腫になるの?
手術後、数カ月は一時的にむくみが出ますが一過性で自然に治ることがあります。
数年の間に、仕事復帰を経て体に負荷をかけると、疲労やストレスでまた一時的に悪化することがあります。
これまではしばらく様子を見ていたら治っていたものが、徐々に自然にむくみが治らなくなってきます。
個人差がありますが、数年かかることが多いです。体に負担をかけないよう、無理のない範囲で仕事をすることが大切です。ストレスでリンパ浮腫って聞いたことがないと言われそうですが、意外と仕事のストレスで体の不調につながるとむくみが出てきます。
そして無理した後に体を休めてもむくみが悪くなったっきりよくならない場合、皮膚の感染をきっかけに蜂窩織炎になり一気に急増悪することがあります。一気に足が太くなるのです。赤みも熱もでて、パンパンになると歩けなくなります。
休んでも自然には戻らず抗生剤投与をしないといけなくなります。
これを数回繰り返してからリンパ浮腫と気が付く方もおりますが、その時は増悪を防ぐ程度で、治療は根本的に治すことが難しくなっている状況です。
リンパ浮腫とサウナ
むくみの予防にマッサージする方法があります。温泉やサウナでリラックスするのはよいことですが、急激に体を温めてしまうとリンパ浮腫が増悪することがあります。
ゆっくりと温まる、体に負荷のかからない程度に楽しむ、という加減が大切です。