下肢静脈瘤とリンパ浮腫
足のむくみの原因の一つに、「下肢静脈瘤」があります。
下肢静脈瘤では、静脈弁(静脈血の逆流を防止する役割があるもの)が壊れ静脈血が滞ってしまいます。どんどん毛細血管から水分が漏れ出てきて、皮下にたまると「むくみ」として発症します。
リンパ浮腫も同様で、リンパ液が滞り溜まるとむくみにつながります。

下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術のガイドライン2019より(日本静脈学会ガイドライン委員会)
下肢静脈瘤とのちがい
下肢静脈瘤は、「圧痕性浮腫」という特徴的なむくみがみられます。
圧痕性浮腫(あっこんせいふしゅ)とは、指で押すと引っ込んだまま戻らない皮膚の状態です。
リンパ浮腫でもみられることもありますが、進行したリンパ浮腫では皮膚が硬化し、非圧痕性浮腫となることが多いです。部位の違いもみられます。リンパ浮腫は足の甲(足背)、上肢(二の腕から手)、太もも(大腿)、下腹部にもおこることがあります。
特徴的な症状
下肢静脈瘤では、足の静脈(血管)が滞り「こぶ」のようになります。足のこぶが目立つように大きくなると、次第に体のだるさが出てきたり疲れやすくなったりします。むくみもありますが、重症になると皮膚の湿疹や潰瘍形成し、こすれた刺激で出血しやすくなることがあります。静脈血の血流うっ滞と、皮膚の循環障害が起こるため、皮膚炎や色素沈着も併発します。
むくみ方はリンパ浮腫と同じで、長時間立っていた後、昼から夕方にかけて徐々にふくらんできますが、夜寝ているときに足がつりやすくなる(こむら返り)こともあります。足のつりは足の筋肉の痙攣です。
- 足のむくみ
- ふくらはぎのだるさ
- 足の血管がぼこぼこ目立つ
- 膨らんでいる血管が痛む
- 寝ているときに足をつる
- ふくらはぎに湿疹ができる
- くるぶしの赤茶色の色素沈着
- くるぶしの皮膚潰瘍
これらが主にみられる症状です。
むくみ以外にも、全身の倦怠感(だるさ)やボコボコの血管が目立ち痛みが出ることがあります。
皮膚の湿疹や色素沈着もみられます。
下肢静脈瘤の原因は?
下肢静脈瘤は静脈弁が壊れて静脈血が滞ることでおこりますが、壊れる原因には「妊娠、出産」、「長時間の立位」、「座り仕事」が代表的です。男性ではガソリンスタンドで勤務される方にも見られます。体重が急増したときに症状が顕著になることもあります。また、変形性膝関節症、脊柱狭窄症など整形外科の病気のためおこりやすくなることがあります。
内科的な病気では、心臓、腎臓の病気のために起こることがあります。
下肢静脈瘤の種類

下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術のガイドライン2019より(日本静脈学会ガイドライン委員会)
伏在型(ふくざいがた)
伏在型静脈瘤は徐々に悪化し静脈のこぶが大きくなり、盛り上がることがあります。
だるさ、疲れやすさが起こるタイプで、進行した場合は手術が必要です。
大伏在静脈瘤(だいふくざいじょうみゃくりゅう)や、小伏在静脈瘤(しょうふくざいじょうみゃくりゅう)が代表です。
くもの巣状(くものすじょう)
もう一つはくもの巣状静脈瘤で、赤い血管がくもの巣のように皮膚に広がって見えることからこう呼ばれます。
中高年の女性に多く、無症状です。
くもの巣状静脈瘤は進行しても、伏在型静脈瘤になることはありません。
しかし、伏在型とくもの巣状静脈瘤は同時に併発することがありますので、エコー検査で調べないといけません。
下肢静脈瘤の治療法は?
基本的な治療は保存療法で、リンパ浮腫と同じように「弾性ストッキング」をはく圧迫療法です。
それ以外には、注射して静脈を固まらせる「硬化療法」があります。
手術には、静脈を引き抜く「ストリッピング手術」、レーザーで静脈を焼灼する「血管内レーザー治療」があります。
治療が必要な場合は?
ボコボコの見た目が気になる、毎日のように症状がある、皮膚の湿疹、潰瘍があるなどが適応です。
患者さんと相談ですが、気にならない場合は弾性ストッキングをはく必要も、足をあげて寝る必要もありません。
しかし、若年(40歳までで)立ち仕事をバリバリさせる方では、症状がなくても将来的に内科的あるいは整形外科疾患をきっかけに気になりだす、または症状が出始めることがありますので、治療が必要な場合があります。
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2025/12/09 K.Kaori