むくみのステージ
リンパ浮腫は時間の経過とともに、リンパ管内にリンパ液がうっ滞、停滞する病気です。リンパ管内圧が徐々に高まるにつれ、病状は進行していきます。
腕、足そのものの大きさ(周径)が変化するまでに、皮膚の変化もみられます。
皮膚の線維化、硬化は程度により悪化していき、未治療では正常の皮膚には戻らないと言われています。
4つのステージ

(掲載元 https://www.physio-pedia.com/Lymphoedema)
こちらは下肢リンパ浮腫の写真です。病状の進行により4つのステージに分けられています。
写真はサイトから引用させて頂いたものですが、代表的な見た目の違いがお分かりいただけると思います。
具体的には何が違うのか、詳しくみていきます。
国際リンパ学会(International Society of Lymphology:ISL)が定めた病気分類がありますので、そちらをもとに記載致します。
ステージ0(ISL 0期)
潜在性または無症候性の状態。
リンパ液の輸送が障害されている状態。
浮腫は明らかには認めない。
ステージ1(ISL Ⅰ期)
浮腫を認める。
患肢(浮腫のある足)を挙上すると軽快する。
圧痕性浮腫をみとめることがある。
ステージ2(ISL Ⅱ期)
患肢の挙上だけでは腫脹が改善しない。
圧痕性浮腫を明確に認める。
ステージ3(ISL Ⅱ期後期)
組織の線維化を認める。
非圧痕性浮腫を認める。
ステージ4(ISL Ⅲ期)
象皮症様変化、表皮肥厚、脂肪沈着を認める。
強い非圧痕性浮腫を認める。
文章だけでは分かりにくいので、次もサイトから引用させて頂いたものですが、圧痕を残す浮腫VS圧痕を残さない浮腫という違いも併せてお示し致します。
(掲載元 https://plasticsurgerykey.com/definition-incidence-and-pathophysiology-of-lymphedema/)

この写真はAからEまで5枚の下肢リンパ浮腫の患者さんのものです。
A:ステージ0、ノーマルです。
BとC:ステージⅠ、即時にリンパ浮腫は改善、1分間左足を押さえた後の状態がCです。圧痕(あっこん)が残っています。これを圧痕性浮腫といいます。
D:ステージⅡ、即時にリンパ浮腫は改善しない状態です。徐々に非可逆性となっていきます。
E:ステージⅢ、進行したリンパ浮腫の状態です。下肢の腫脹、表皮の肥厚、皮下脂肪の沈着と線維化が顕著です。
徐々に進行すると、非圧痕性浮腫となります。
皮下組織の線維化が進むと、指で押した痕もつかなくなるほど、硬くなるためです。
さらに進行すると、皮膚自体が厚くなります。
リンパ浮腫と脂肪吸引
リンパ液の流れが滞る病態、リンパ浮腫では何が起こっているのでしょうか。
リンパ液自体には、タンパク質が豊富に含まれており、リンパ液が貯留すると慢性的に炎症を引き起こすと言われています。色々なサイトカインが惹起されるようですが、様々な研究により病態の解明から治療法の研究がおこなわれています。
リンパ液が貯留し、炎症が起こり、皮下脂肪が肥大し蓄積される。さらに皮膚、皮下組織が線維化を起こす。
これらの悪循環がさらに増悪を引き起こします。
圧迫療法、運動療法、リンパドレナージなどを組み合わせて行う複合的な治療もありますし、リンパ管静脈吻合術(LVA)、リンパ節移植術などの手術療法もあります。これらにより溜まったリンパ液を排出し流れを改善することはできても、一度できてしまった肥大した脂肪は減らせません。
脂肪吸引という方法で、過剰な皮下脂肪を減少させることができます。選択肢の一つにあがります。
先ほどのステージでは、ステージ3(ISL Ⅱ期後期)以降が適応で、非圧痕性浮腫がその適応といわれています。
圧痕性浮腫の状態、脂肪の蓄積より線維化の方が重症である場合は、脂肪吸引だけでは効果的とは言えません。
脂肪吸引後ももちろん必要ですが、圧迫療法が全てのステージにおいて治療の基本といえます。
脂肪吸引は脂肪のみを吸引するため、引き伸ばされた皮膚は残ります。
そのため、弾性包帯と弾性ストッキングで圧迫しておくことが有用です。